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DEI推進で社内のエンゲージメント向上。社員意識調査のスコアもトップクラスに

作成者: JobRainbow|Dec 15, 2022 4:07:47 AM

Assurant Japan株式会社

Assurant Japanは、携帯端末に関するトータルサポート、家電・住宅設備の延長保証、製品取扱説明書をデジタルで一元管理する「トリセツ」アプリを活用したデジタルライフサポートの3つの事業を軸に、お客様一人ひとりの大切な毎日をより安心で快適であるように幅広いソリューションを提供しています。

 

個人・企業を問わず様々なお客さまに接するAssurant Japanは、JobRainbowLGBT研修を受講したことで社員の意識が大きく変化したそうです。

カルチャーは結果に現れる

今回JobRainbowのLGBT研修をご利用いただきありがとうございました。Assurant Japanではいつ頃からDEI*推進に力を入れていたのでしょうか?

*「Diversity(ダイバーシティ、多様性)」「Inclusion(インクルージョン、包括性)」に加えて「Equity(エクイティ、公平性)」の頭文字をとった略称

 

坂本さん(以下敬称略) : 弊社のカルチャーには「人がすべて」という考え方が元々あります。一人ひとり異なる社員が本当の自分でいられてこそ、能力を十分に発揮できる。言い換えれば、「多様性がビジネスをドライブしていく」という発想ですね。


そしてとても幸いなことに、代表取締役社長である藤本が「人を大切にする」カルチャーを常に身をもって示し続けており、「企業のサステナブルな成長に、多様性と包摂性が必要不可欠です。LGBTQはもちろんのこと、社員それぞれが持つ様々な個性やバックグラウンドを大切にするカルチャーがあるからこそ、各個人の力を十分に発揮することができ、互いにサポートし合いながら共に成長していくことができます。それが組織としての躍進、本質的でサステナブルな成長に繋がります。」と繰り返し話しています。

また、多様性を高める種々の取り組みを積極的に後押ししており、後ほどお話するEngagement Championship Teamという草の根・ボトムアップのアプローチと、藤本発信のトップダウンのアプローチが極めて有効に機能しています。


グローバルのAssurantグループ全体で言えば、女性社員・シニア社員が経験をシェアしたり、ライフステージで直面した課題への解決策を相談しあったりできる自助グループを、経営陣サポートのもと社員自ら立ち上げています。ここでもやはりトップマネジメントのコミットメントが顕れています。

 

ーそのカルチャーがあるなら、LGBTに対する理解もかなり深まっているのではないかと感じますが……なぜJobRainbowのLGBT研修を受けようと思われたのでしょうか?

 

坂本:当事者の方や人事担当者、DEIに関するトピックにアンテナを張っている方の大多数は、「性のあり方はグラデーションである」とご存知かと思います。しかし世の中全体を見たときに、この考えを誰もが自然に持てているとは限らないな、と感じていました。
であれば、会社として社員全員がきちんと知る機会を設け「知らぬ間に誰かが不快な思いをする/意図せず誰かを傷つける」という可能性を減らしたいと考え、受講させていただきました。

 

受講後、社内の反響はいかがでしたか?

清水谷:多くの社員が「LGBTQへの理解や課題への認識が深まった」と口にしており、5段階評価で理解度を確認するアンケートでは、研修の前後で平均点が3.1ポイントから4.3ポイントまで上昇しました。また、その後の社員意識調査ではなんと97%の人がLGBTQ+フレンドリーな職場であると回答しています。

 

ー社内の変化も感じますか?

 

清水谷:もちろんです。しかも「研修を受けた直後」だけでなく、「研修を受けてからの社内コミュニケーション」によって意識が浸透していく社員がいるのも印象的でした。

 

Sr. People Partnerの町田 玲子さん(左)とSr. People Organization Analystの清水谷さん(右)

 

清水谷 研修について社員同士が感想を話すのを耳にした際、「属性に関係なくお互いへの理解を深めて配慮しよう、ってことですよね。それがうちの会社のDEI」「たしかに、そのとおりだね」と、研修で受け取って自分なりに咀嚼した内容を共有し、お互いの理解を補強し合っていました。

こうした会話自体が社内の心理的安全性の高まりによるものだと感じますし、会社のカルチャーへの共感を軸に各自の多様性を尊重する動きの表れだと思います。

 

町田:Assurant Japanに入社して3年いた中で、お世辞抜きに最も大きな変化だなと感じました。研修を受ける前「LGBTQのことはよくわからないから、それについては言及を控えたい」と言っていた社員も、研修後のコミュニケーションを通じて、LGBTQを「特殊なこと」と構えるのではなく、人の数だけ存在し得る様々な違いの1つと捉え始め、価値観が変容していく姿がわかりました。

 

清水谷:私が雑談の中で、同性のパートナーと旅行した話題をサラッと出した時も「へぇ、どこに行ったの?」といった調子で。パートナーが同性の人も当然いる、ということが腹落ちしているからこその反応だと思いますし、社員全体が本質に目を向け「サポーティブを超えてニュートラルになっている」というのが、当事者としての肌感です。

 

受けた当初はわからない・咀嚼しきれていないこともあると思います。でも、全員が同じ学びの機会を得られたからこそ、共通言語のようにそのトピックについて話しあい、理解を深めていくことが可能になりますよね。

 

 

企業としての信頼度・スコアも大きく向上

研修受講後、Great Place to Work(GPTW)による調査の結果が大きく変わったと伺いました。

坂本:はい。GPTWAssurant Japanを対象に行う働きがいに関するアンケート調査の中に、「人種/性別/性的指向に関係なく正当に扱われているか」を問う設問がありました。この設問に対して、性的指向だけでなく3項目全てにおいてポジティブな回答が95%以上(昨年+13~20%)となりました。これは調査参加企業の中でトップクラスの水準です。

 

小林:「LGBT研修」と言うと「LGBTだけが大事なのか!」と誤解されがちですが、全項目の数値が上がったということは、「この研修は全ての属性に通ずる話なんだ」という実感が受講者に生まれた証ではないでしょうか。

 

Marketing & Communication Managerの小林 麻里絵さん

 

小林:JobRainbowの研修には、セルフチェックを通じて自身についての理解を深められるパートがあります。そこで、「LGBTLGBTでない」という二項対立ではなく、一人ひとりがグラデーションの異なる位置にいるんだから「個人」を見て尊重しあう必要があるよね、と研修をグッと自分事にできたんだと思います。

 

町田:会社のカルチャー作り・浸透を図る際、「効果があったとわかる数値を獲得する」ことは本質的な目的ではありません。やるべきことをやっていたらきっと数字もついてくるはずですし、数字に表れなかったとしたら取り組みの内容や方針を再検討すればいいんです。

今回私たちは、目に見えて社内が変わったように感じていたので、調査でスコアが上昇したと聞いたとき「やっぱりそうか」が真っ先に抱いた感想でした。

 

社員のエンゲージメントにも変化が見られましたか?

町田:部門横断で有志社員が集まるEngagement Championship Teamというエンゲージメント促進チームでは、社員のエンゲージメント向上のため、普段から様々な活動を企画・運営しています。LGBT研修を通じて個を尊重する文化が社員により一層分かりやすい形で伝わったことから、LGBT関連の企画やイベントに参加することについても今後のアジェンダの一つとして議論しています。

 

清水谷:TOKYO RAINBOW PRIDEにも、自然と有志メンバーが集まりましたよね。参加したメンバーからは、「企業の努力がコミュニティだけじゃなく私たち働く人全体に還元されているんですね」といったコメントもいただけて、アンテナの高まりとAssurant Japanへのエンゲージメント向上を同時に感じられました。

 

坂本:様々な活動やメッセージの発信を通じて会社が社員一人ひとりを大事にする想い・姿勢が伝われば、社員は「自分自身も大切にしてもらえているな」と感じ、エンゲージメントが高まります。しかし同時に、そのエンゲージメントの高まりを一過性のものとせず、また、社員の気持ちを離さないためには、継続した活動・発信が必要です。

継続することは簡単なことではありません。ゆえに継続できなかったときの反動を考えると、「だったら初めから取り組まない方がいいかな……」と腰が引けてしまうかもしれませんが、取り組み続けることで社員一人ひとりのパフォーマンスが常に最大化されます。そうすると、社員調査のスコア同様、業績も自然とついてくると思います。だから私たちは、DEI推進を企業の成長に直結するものとして位置付けています。

 

 

取り組むことには「プラスしかない」

最後になりますが、DEI推進に取り組むか悩んでいる企業に、メッセージをいただけますか。

坂本:人事担当者としては、やらない理由を考える時間がもったいないんじゃないかな、と思います。私たち自身、DEI推進にはなるべく早めに取り掛かった方がいいと実感しています。

 

Sr Director, People Organization, Japanの坂本 美樹さん

 

坂本:弊社は日本オフィス設立からまだ6年ですが、その間に2回のM&A2社と一緒になっています。1つになった会社の素晴らしいカルチャーも取り入れつつ、「One Assurant」としてのカルチャーを形成・浸透させていく必要がありました。何もせずに時間を置いてしまうと、社員の期待も不安も放置され、「1つの企業である」という意識の醸成が難しくなっていったであろうと思います。

組織として変わらない期間が長くなればなるほど、組織文化を変えづらくなってしまいますし、新たに参画するメンバーも今の文化に共感して入社するわけですから、革新は起こりづらくなるでしょう。常に今日が人生で一番若い日と思っているのですが、それは会社にとっても同じことです。鉄は熱いうちに打った方が良い、であれば1日でも早く取り組み始めたほうが良いですよね。

 

清水谷:「LGBT研修」と聞くと、特定の属性だけをえこひいきするようなイメージを持たれる方がいるのかもしれません。でも実際は、1つのテーマを入口として「一人ひとりが輝ける社会」について考えられる、普遍性を持った研修です。

むしろ、自分には関係のない話だと思っている方が「自分を含む誰もが何かのマイノリティなんだ」と気づけば、「自分/周りだとどうかな」とマインドも変化するのではないでしょうか。

 

町田:当事者意識を持ってDEI推進に取り組めるようになりますよね。また、皆で学べる場ができて共通言語ができると、チーム全体でアンテナを高めあうこともできますし。自分自身の視野も広がって、正直プラスのことしかないと思います。

 

小林:もしかしたら、「自分自身はマジョリティだから関係ない」「マイナスになるかもしれない」と思っているからこそ、二の足を踏むのかもしれません。誰もが何かのマイノリティですから、「あなたのいる企業」のDEI推進は、「あなたの働きやすさ」にもつながります。

「属性=その人」ではなく「属性=その人を構成する要素の1つに過ぎない」と浸透すれば、変に自身を卑下することもなく、誰かが不当に傷つけられることもありません。中立な「個人」同士が評価・コミュニケーションしあえる、全員が楽でいられる職場になりますよ。