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タクシー業界で異例の取り組み!Go Driversityで多様な人が働きやすい職場を作る

作成者: JobRainbow|Jul 31, 2022 7:07:53 AM

日の丸交通株式会社

ダイバーシティに取り組む前、どのような採用課題があったのでしょうか

タクシー業界全体として、採用に関しては危機的な状況にありました。
業界としての平均年齢は53歳。ドライバーが高齢化しているという課題があります。
サービス業の中でも低く見られやすいということも無視できません。

 

どういった背景でダイバーシティを大切にするようになったのでしょうか

当社のダイバーシティ施策は、女性の積極採用から始まりました。
女性利用者のニーズに応えるため、女性ドライバーを指定できる「なでしこタクシー」を始めたのとあわせて、女性が働きやすい環境を整えていきました。自信を持って入ってきてもらえるように、と考えたんです。
女性用のロッカー・シャワーといった施設の充実や、ヤクルト保育園とのタイアップで子育て支援もしました。「可愛い制服を着たい」と思ってもらえるように、スカーフタイプの制服も作りました。
これらの取り組みのおかげで、働き方は男と同じでなくてもいい、女のペースで仕事ができるんだ、と伝わった実感があります。取り組み当時の50名から倍の100名を超えるまで、女性採用を伸ばすことができました。

その後、外国籍ドライバーの採用にも力を入れました。現在10カ国、50名を超える外国籍ドライバーが在籍しています。続く、第三弾がLGBTです。

発端は採用難から。
しかし、ダイバーシティ取り組みが加速したのは、これで会社として強くなろうという決意だったと思います。
いろんな人、多様性を受け入れることによって、強い会社、アイディアがある会社になる。多くの会社が考えていることかもしれませんが、そういう想いが今確かにあります。

LGBT採用を始めたきっかけ、大変だったことを教えてください

LGBTという言葉を聞くようになる前から、すでに性的少数者の人たちは会社にいたんです。もともとタクシー業界にはさまざまな人生を背負う人がいるので。カミングアウトをすることなく、黙って世間に迷惑をかけないよう、ひっそりいきている実態を感じていました。
大きな転機になったのは、トランスジェンダーを公言する女性が面接に現れたときでした。
「女として雇うことが無理ならそれでもいい」と言っていると、と人事から相談が。本人の希望する性別で働けるようにしようと決意し、営業所の中でコンセンサスをとるため動きました。

最初は、特に高齢の社員を中心に「お客さんが気持ち悪がるだろう」「会社を潰す気か」といった強い言葉も受けました。かなり大騒ぎになって、ふたつに割れました。男性は陰口を叩くし、女性は表立って「会社を辞めます」と言ってくるグループも。

それでも役員の判断で研修を受け、対話を地道に積み重ねるうちに、空気は変わっていきました。営業所を回って月に1回の集会の際に、1時間以上LGBTについて話すことを続けたんです。
その度に、「あんたのやっていることはおかしいよ」「自分の子供がそうなったらどう思う?」と直接抗議をしてくるドライバーたちと、一人ひとりと話をしていきました。人を動かすには熱意が必要だと思います。コミュニケーションをするしかないと腹を決めて、ヘトヘトになるまで話しました。そうすると、確実に理解者は増えていきます。面白いのは、理解者を一人増やせると、その人が他のドライバーにも話してくれるので、二乗で理解者が増えていくとわかったことです。
目の前に現れた人にしっかり対峙して、熱意を込めれば伝わる。とても達成感がありました。

そして、もう一つ重要なことは、実際に職場に人がいて、会社として応援する環境があれば、それが「普通」になるということです。今では「LGBTの人が働くことは何も問題ないよ」という人がほとんどです。これは営業所長の密かな努力と、セクシュアリティを公表して入社してくれたドライバーたちの誠実な仕事ぶりのおかげでもあります。今では本当に多様な人がいる、面白い営業所になってきたと感じています。

 

JobRainbowを利用したきっかけを教えてください

LGBT採用をもっと進めたいと思ったときに、自社のダイバーシティページにLGBT採用について掲載するのが少し難しかったんです。
実際に働いている人の声を載せたくても、まだまだネット上での顔出しはNGな人が多く、顔を隠して掲載することになってしまう。これでは隠れている存在に見えてしまうということで、一度企画をボツにしました。

タクシードライバーの仕事をLGBTの人たちにオススメするにはどうしたらいいのか。
人が怖いという方でも、誰もみてないから気が楽な仕事です。夜の世界で働いているけれど、表に出て美味しい空気と明るい太陽の光を浴びながら仕事したいという人もいます。そんな人たちにどうやったらPRできるのか。
また、LGBTフレンドリー企業が増えていましたが、その中でも自社の名前を売りたいという気持ちもありました。タクシー業界の先陣を切って、もっと業界を盛り上げていきたいと思っていました。

そこで、採用だけでなくPRとしても効果があるような、恒常的に掲載できる媒体を探していました。「LGBTと就職」という領域で、影響力のある会社と仲良くなりたかったんです。

そうしてJobRainbowに出会いました。JobRainbow以外に同じようなサイトはないですし、LGBTの方に対して適切なアピールができる場所だと思いました。

実際にJobRainbowでどのような出会いがありましたか?

JobRainbowでは、非常に費用対効果よく、採用ができています。媒体の利用に加えて、イベント(Real JobRainbow2019)にも出展し、目的を持って行動しているJobRainbowユーザーの方とたくさん出会えました。イベントでは話しかけることができず、遠巻きに見ていた方が媒体で数ヶ月後に応募してくれたこともありました。
LGBTの方は、ハマれば周りの人に伝えてくれて、会社の紹介をしてくれる方が多いです。ツイッターで紹介してくれたりもします。生き生きと働いてくれるのはとても嬉しいです。

 

これからダイバーシティに取り組む企業へのアドバイスもあればお聞かせください

古臭い業界こそ、ダイバーシティに取り組むのは、腰が重いと思います。
私たちも、新しいことなんて何にもないところに、突風が吹いたと感じました。
イメージアップだけでなく、ぶつかり合って、話し合って、施設も変えていく。そういう過程で、会社が活性化し、みんなが元気になりました。
こんな人もいるんだ、といろいろ考えるようになり、サービスにも生きています。
年をとると新しいことをやるには疲れますが、これはきっと会社のためになることです。

 

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