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専門家との伴走により、前代未聞のスピードでD&I推進。社内制度も大きく変わる

作成者: JobRainbow|Apr 17, 2023 4:56:03 PM

株式会社イトーキ

イトーキは「明日の『働く』を、デザインする。」をコンセプトに、オフィス家具の製造・オフィス設計などを通じて新たな働き方やオフィス空間を提供しています。
時代を超えて「働く」について考え続けてきたイトーキは、JobRainbowのコンサルティングサービスを利用したことで、わずか半年足らずで全社的な制度改革を実現。さらには展示用のLGBTQアライ製品開発プロジェクトもスタートしたといいます。

経営層の心を動かした、納得感のあるコンサルティング

JobRainbowのコンサルティングサービスをご利用いただき、ありがとうございました。サービスを使用する前、イトーキにはどういった課題があったのでしょうか。

伊藤さん(以下、敬称略):弊社には元々D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)を推進する部署があったのですが、取り組む領域が女性活躍や育児・介護にとどまっており、LGBTQ+に対して十分な取り組みを行えていませんでした。

大井:そんな自社の状況を見直したきっかけは2 つです。1つ目は、社員からのカミングアウト。その際に「当事者がいることに気づけていなかった」という自省から、LGBTQ+の取り組みがまだまだ不足している、つまり対応が後手に回ってしまっていたと気づき、できることからすぐにでも始めなければ、と危機感を抱きました。

 

人財開発課 課長 大井 卓爾さん

 

大井:2つ目が、2022年10月の育児・介護休業法の法改正です。一般に出生時育児休業は「産後パパ育休」と言われますが、性別に関係なく誰もが積極的に育休を活用できる企業にしたいと、と考え始めました。

 

そこからなぜ「JobRainbowのコンサルティングサービスを利用しよう」と思われたのでしょうか?

伊藤:D&Iに関するコンサルティングをされている複数の企業さまにお話を伺った際、JobRainbowさんのご提案が私たちの心を最も動かしたからですね。
弊社の事業形態・ミッションステートメント・ビジョンを踏まえた上で、「だからイトーキは経営においてD&Iを推進すべきだ」という筋がすごく綺麗で、これなら経営層や社員も納得感を持って参画できそうだな、と確信しました。

 

人事課 D&I推進チーム チームリーダー 伊藤 翠さん

 

中澤:また、当事者の方が講師となってご自身のライフヒストリーと共に同業他社の取り組みも紹介してくださったことで、取り組む必要性に手触り感が生まれました。

 

コンサルティング開始からわずか半年で、社内制度が大きく変わる

では具体的に、どのような流れでD&I推進に取り組んでいかれたのでしょうか?

伊藤:まず2022年7月に、JobRainbowさん主催で経営層にセクシュアルマイノリティに関する勉強会を実施しました。LGBTQ+関連施策を進める上で「社内規程の改定」は避けて通れません。当社の経営層はLGBTQ+について十分な知見があるとは考えていましたが、規程改定を適切に決議いただくためにも、改めて勉強会で情報のインプットをさせていただきました。

そこから8月にD&I推進全体のコンサルティングをJobRainbowさんに依頼し、10月には性別の表記を社内規程から削除することができました。

大平:この時期にLGBTQ+アライステッカーの社内配布も行ったのですが、全国各地の支店で働く72人から応募がありました。11月には社外向けのアライ宣言を行い、PRIDE指標でブロンズを獲得。2023年の1月には同性パートナーシップ制度も導入し、相談窓口の拡充や通称名の利用拡大にも取り組み始めました。……こうして整理してみると、信じられないスピード感でD&Iを推進できましたね(笑)

大井:勉強会でLGBTQ+の情報を深く共有できたからこそ、順調に進められたのだと思います。例えばアライ宣言は対外的な発信ですから、宣言をする判断にも時間がかかるため、2023年の4月に発信できればいいかな……と考えていたのですが、経営陣の方から「いや、スピード感を持ってもっと早く宣言しよう」と。当初の計画を5ヶ月も早く実行に移せることは、異例のことでした。

中澤:前例のないスピードにはいくつか要因があると思いますが、何より当事者による勉強会が私たち人事を含めて全員の心に刺さったのだと思います。弊社が掲げる「明日の『働く』を、デザインする。」という企業コンセプト。どんな人でも働ける場所をデザインするにあたり、LGBTQ+の視点は溢れていなかっただろうか……と当事者のライフヒストリーを聞きながら、誰もが内省しました。

 

人事課 課長 中澤 裕華子さん

 

伊藤:JobRainbowさんの示すD&I推進の筋道が明瞭かつコンパクトであったことも、スピードの要因でしたね。例えば「PRIDE指標でゴールドを取得している企業はこういった要件を満たしている」といった分析によって弊社に足りない部分が明らかとなり、「どこをゴールとして定めるか・そこにどう着地させるか」をシャープに考えられました。きっと自社だけではここまで効率よくD&I推進に取り組めなかったと思います。

大平:事前準備からタスク整理まで無駄がなく、膨大な数のやりとりも最小の時間で済みましたし、一方で弊社がわからない部分については「言葉選びの意図」といった粒度まで丁寧に説明していただけました。とにかくコンサルティングが洗練されていたのが印象的でしたね。

 

外部の知見を活用して、日本全体の活性化へ

D&I推進に関して、今後のご展望はございますか?

伊藤:今までは社内向けの施策が中心でしたが、これからは社外に向けて「イトーキがLGBTQ+アライである」と伝えられるような、オリジナリティある取り組みをしていきたいです。具体的に考えていることとして、弊社の代表的な商品であるチェア「vertebra03」に展示用のITOKI×LGBTQ+アライカバーを追加予定(2023年4月頃)です。弊社の受付やショールームといったお客様との接点に展示することで、シンボリックなものにできればと思います。

中澤:人事部門が商品開発や生産の部門と協働して製品をリリースするのは、非常に珍しい取り組みです。さらにデザイン部門やショールームとの協働で、人事発信の展示を行うことも新しい試みではないでしょうか。これをきっかけに、LGBTQ+に限らず育児・介護・外国籍・多文化共生といった領域にも染み出し、人事からも「誰もがより自分らしく働ける職場づくり」にアプローチしていきたいですね。

 

 

D&I推進への第一歩をまだ踏み出せていない企業に向けて、メッセージをいただけないでしょうか。

伊藤:もし「対象者がいるかもわからない、社員もまだ知らないから取り組まなくてもいい」と思っているならば、むしろ取り組みをきっかけに知ればいいんだと思います。私自身、D&I推進を通じて「十分理解できていなかったんだな」と感じることがたくさんありました。

 

人事課 人事労務チーム チームリーダー 大平 裕子さん

 

大平:パートナーシップ制度ひとつとっても、導入するには様々な障壁があります。でもそれは、取り組み始めたからこそわかったこと。「何から始めよう……」と悩むにとどまっていれば、きっとこの痛みは知らないままでしたし、同時に、制度が必要な人に何も届けられなかったでしょう。D&I推進のための一歩を踏み出すと、見える世界は変わりますよ。

大井:恥ずかしがらず、専門家の力を借りてみていいと思います。イトーキは、JobRainbowというプロフェッショナルの伴走により、社内で必要性をきちんと理解することができました。そこで同意と共感を得られた結果、具体的な施策に繋がり、「D&I Award 2022」で最⾼ランクの『ベストワークプレイス』に認定されるなど、今のイトーキの姿があります。
もちろん弊社はD&Iのリーディングカンパニーを目指し続けますが、多様な個性を持った方がイキイキと活躍できる場を創る企業が増えれば増えるほど、日本全体も強くなっていくのではないでしょうか。