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「失敗してはいけない」では何も始まらない。JobRainbowを通じて、入社前からロイヤリティの高い人材とのマッチングを実現

作成者: JobRainbow|Jul 31, 2022 7:00:11 AM

株式会社more

世田谷区から中小企業の就業モデルプロジェクトへの参加も打診され、介護業界をリードする株式会社more。
地域への貢献をモットーに、関わる全ての人に感動してもらいたい、という想いのmoreがLGBTQフレンドリーな企業を目指す背景について、代表取締役の倉田さんと、採用担当者の渡辺さんに話を伺いました。

介護業界でダイバーシティ実現への取り組みを打ち出している企業は珍しいと思いますが、なぜ取り組みを始めたのですか?

倉田さん(以下敬称略)個人の尊厳を守ることは、介護の基本です。「その人らしさ」を大切にする介護の世界だからこそ、ダイバーシティの実現を目指すことはある意味必然でした。

もちろん、初めての取り組みだからこそ身構えた部分もありました。しかし、いざ経営会議で提案してみると、幹部も「まずは、やってみようよ」と反対意見もありませんでした。当社に「人を中心に考える文化」が根付いていたからこそ、スムーズに取り組みを始められたんだと思います。

 

渡辺さん(以下敬称略)実は、以前いた会社で採用担当をしていた時に、LGBTQを「人手不足を補う資源」と考えていた部分が多々ありました。しかし、moreでは創業以来、人手不足で困ることがなかったため、一人ひとりの求職者を「人材資源」ではなく「個人」として初めて見つめ直すことができた会社でもありました。

すると、「普段の業務では高齢者に対する尊厳って大事にしているよな」「あれ、それって”人”という意味では、LGBTQや性別も関係ないんじゃないか?」と気づけたんです。moreに出会えたからこそ、ネガティブな視点が本心から変わりました。

 

JobRainbowを知ったきっかけや、その後の求職者やお客様からの反応を教えてください。

渡辺過去に参加した「LGBTQに対する理解を深める」という趣旨のセミナーで、御社の代表の星さんが話されていた当事者ヒストリーが印象に残っており、moreで取り組みを始めよう、となったとき真っ先にそれを思い出したんです。そこで、星さんにメールをお送りしました。

 

渡辺JobRainbowから応募してくださる方の多くは、セクシュアリティに関する悩みを抱えながら「自分らしく働きたい」と思い当社にたどり着いた方です。

JobRainbowに掲載されているからこそ「moreは理解がある」と思い応募してくださったからか、他の媒体からの応募者よりも喜んでくださる方が多いです。

「時間をいただきありがとうございます」「丁寧なご説明ありがとうございます」と言ってくださる方の多さに驚きますし、逆に言えば私たちのような企業はまだ少ないんだな、と感じてしまいます。

 

倉田まだJobRainbowで採用を開始してからそこまで日が経っていませんが、入社してくれた方に会ってみると、皆さん何の違和感もなくお仕事をされていて、安心します。JobRainbowからの応募者は入社前からロイヤリティの高さが言動・態度に表れているんですよね。おかげさまで、会社と応募者の心の距離を縮めるところから入社までスムーズに進みます。

 

渡辺あと、事前に深く企業研究をされている方が多い印象です。HPの隅々までチェックしてくれてるな、とわかるくらい会社説明会でも鋭い質問ばかりですし、「あれ、この人実はもうmoreで働いてる?」と思っちゃうくらいの方もいて。そういう方が相手だと、会社説明を一部省略して、その分お互いにありのままの姿を知るためのコミュニケーションに回せます。

 

取り組みを通じて、お二人の考えにも変化はありましたか?

渡辺前職で接してきた求職者には「”何となく”でこの会社を受けたんだな」と感じる方がかなりいました。しかし、JobRainbow経由の求職者からは「ここに入りたい」という強い想いを感じ、「求職者」への見方が変わりました。

 

倉田今までは、当事者の方に出会っていた自覚がなく、アンテナを張れていませんでした。しかし、学ぶ中で「左利きと同じくらいいる」など知ると、まだ自分を出せない世の中なんだな、と社会課題の大きさに気付けました。今よりもカミングアウトのハードルが高い時代を生きてきた高齢者やそのご家族の中にも、当然当事者がいるんだろうな、と意識してからは、多くの方と接するmoreから社会課題を解決したいな、と考えるようになりました。
私たちの考えを、関わる全ての人に知ってもらうことで、世田谷という地域全体をLGBTQフレンドリーにできると信じています。

 

渡辺また、当社が協業している地域の児童養護施設のサポート団体等から、「介護業界を希望している当事者がいるのだが、LGBTQをmoreで推進していると聞いたが、受け入れてもらえるか」と相談されることがあります。高齢者・児童・LGBTQ......複数の社会課題を「ここを解決したらこっちも解消する」と連鎖的に解決するチャンスだな、と感じています。

 

ダイバーシティ推進がうまくいっていない、取り組むか悩んでいる、といった企業にメッセージをいただけないでしょうか?

渡辺性別やセクシュアリティについて「考えない」って実は重要だと思っています。というのも、取り組むために勉強してみると、例えば「この人はこころの性が男性で、男性が好きで、表現する性は女性で......」など考えすぎて、逆によく分からなくなってしまうんです。ですが、それってそもそも深く考えなくていいんじゃないかと思うんです。属性について考える前に「目の前の人がどんな人か」という視点で、個人として向き合ってみるのはいかがでしょうか。

 

倉田何のためにダイバーシティを推進するのか、企業としての軸を定めればいいんです。企業として譲れない想いとダイバーシティ推進がどう絡むかがはっきりすると、社内への浸透が楽になりますし、従業員も必要性を認識して取り組みに賛同してくれます。そうすれば、「アライ」の意味を知らない従業員にも、とりあえず全員にアライステッカーを渡して......といった、本質的じゃない「LGBTQフレンドリー」に陥らずに済みます。

 

渡辺そもそも、自分含め誰もがきっと、何らかの偏見を持ってます。しかし、怖がらず、武装せず、ありのままで求職者の方々に接さないと、自分自身が楽しくないでしょう。そうやって接した上で「この人と一緒に会社を盛り上げていきたい」と思える人を採用することが、win-winなマッチングです。

 

倉田「失敗してはいけない」では何も進めません。そもそも人事/社長だから全知全能、なんてことはないでしょう。「失礼があったら教えてください」「不適切な質問だったでしょうか?」「わかりません、ごめんなさい」といったコミュニケーションから少しずつ始めていくことが大事だと思っています。今後、もしかしたら当社の従業員の1割が、JobRainbow経由の方になるかもしれません。そうすれば「LGBTQフレンドリー」を超えた「LGBTQの方のための介護施設」も実現できるかもしれません。ダイバーシティ推進の旗振り役として、世田谷から社会を変えていきたいですね。

 

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