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「スタッフ・利用者・会社のためになる!愛知の住宅型老人ホームがダイバーシティ採用に踏み出せた理由」

作成者: JobRainbow|Jul 31, 2022 5:28:49 AM

住宅型有料老人ホームスミカ

マイノリティを積極的に採用し、一人ひとりに活躍してもらえる場を設けている住宅型有料老人ホーム スミカ。誰にとっても心地よい雰囲気がつくられている背景には、スタッフ一人ひとりの自発的な配慮と、個人を尊重する会社の姿勢がありました。

 

多様性を重視する背景

JobRainbowに掲載をはじめた経緯を教えてください。

もともとスミカには就職先に困っている人を積極的に採用したいという姿勢がありました。それを知っていた大橋運輸の社長さんが、名古屋レインボープライドについて教えてくださって、大橋運輸さんにならって昨年から協賛をしています。その後JobRainbowもご紹介いただき、「やれることからやってみよう」と導入を決めました。介護職を希望している方ならもちろん歓迎ですし、そうでない方でも、LGBTをふくむマイノリティを受け入れる取り組みがきっかけになって興味を持ってもらえたらとても良いですよね。

 

御社にとって、多様性推進に取り組むことにはどんな意義がありますか?

スミカでは「人が資本」という考えのもと、出産・育児を迎える女性、定年を迎えた高齢者、障がい者、外国人、LGBTといったさまざまな人材の獲得・成長を目指しています。その背景にあるのは「みんなで助けあってひとつのことに取り組みたい」という想いです。誰しもに、得意・不得意がありますよね。だからこそ、補いあうことでより大きな力を発揮できます。
それに、個性が受け入れられ、素の自分を出せる環境をつくることができたら、新しい発想も生まれやすくなると思います。多様性を推進する取り組みは、マイノリティの当事者だけでなく、会社にとっても価値があるんです。
また、スミカでは「入居者さまの笑顔を増やすこと」を目標としているので、和気藹々とした雰囲気を保ちたいと思っています。スタッフのあいだに摩擦があったり、ギスギスしていたりすると、入居者さまに伝わってしまいます。スタッフみんなが互いを受け入れあって気持ちよく働ける職場をつくるためにも、会社として多様性を推進する姿勢を見せることが必要です。代表もよく、「みんな違っていてもそれでいい。物事を考えるときに自分を軸にしすぎないことが大切です」と話しています。

多様性推進の取り組みをはじめて

名古屋レインボープライドにご協賛・ご参加されて、どのような印象を受けましたか?

強く感じたのは、「LGBTだからと言って何かが変わるわけではない」ということです。コミュニケーションは個人対個人のものだとあらためて認識しました。「集団でひとくくりにして、勝手にイメージをつくることが壁になってしまうんだな」と。LGBT当事者のみなさんと話してみて、うちのスタッフとも良い関係を築いてもらえると確信できました。

 

JobRainbowに求人掲載をしたり、研修を受けたりといった取り組みを経て、変化を感じたことはありますか?

スタッフははじめからLGBT活躍推進の取り組みに前向きでしたが、研修をきっかけに小さなところによく気がつくようになり、具体的な行動に移す場面が増えました。たとえば、「彼氏・彼女」や「夫婦」などではなく、「パートナー」という言葉を選択するといったことです。
普段の何気ない会話では自分の感覚を中心に考えてしまいがちですが、すこしずつ学んでいくことで、より細やかな配慮ができるようになりました。ものの見方が広がることは、LGBTの方とのコミュニケーションだけでなく、あらゆる場面で役立っていると思います。

 

現在LGBT活躍のためにどのような取り組みをされていますか?

まず、エントリーをしていただくときに性別を確認する必要はないので、エントリーシートの性別記入欄をなくしました。それから、スミカの制服にはピンクとブルーがあるのですが、本人の希望で好きな色を使えるようになっています。
設備面でいうと、老人ホームということもあり、各施設に「誰でもトイレ」があります。また、更衣室は個室で一人ずつ着替えられる仕様です。スミカの経営層は現場の声を丁寧に聞いてくれるので、これからもスタッフが「こうなればもっと働きやすい!」といったアイディアを口に出せば、どんどん仕組みも充実していくと思います。

 

LGBT当事者と接する際に意識していることはありますか?

LGBTだからどうとかではなく、一人の人として向き合いたいと考えています。
いろいろな経験をされて、一歩目を踏み出すのが怖くなっている方もいるかもしれません。けれど、「世の中理解のない人たちばかりじゃないよ」と伝えたいです。「不安はたくさんあるかもしれないけれど、一歩踏み出すことができたら違う世界が見えてくるよ」と。スミカは誰にとってもひらかれた居場所なので、のびのびとした雰囲気を感じてもらいたいですね。

 

相互尊重の組織風土をつくる

LGBTだけでなく、障がいをお持ちの方や外国人も積極的に採用しているとお伺いしました。そういったスタッフさんはどのようにご活躍されていますか?

基本的に変わりなく一緒に仕事しています。身体障がいのあるスタッフさんはできないこともありますが、職員みんながそれを把握して、安全に仕事ができるよう分担しています。日本語でのコミュニケーションに不安がある外国人のスタッフさんとは、チャットツールを用いて言葉の壁を解決し、日本語を覚えてもらう支援をしています。
マイノリティであろうとなかろうと得意・不得意は人それぞれあるので、本人のやりたい仕事の希望を聞いて、やる気や能力をうまく発揮してもらえるようにサポートしています。

 

スタッフ同士がお互いを理解したうえで受け入れて、協力しあう風土があるようですね。そういった雰囲気をつくるために工夫されたことはありますか?

心の余裕がなければ、お互いを受け入れて協力しようという気持ちは生まれません。なので、シフトなどの面で出来るかぎり本人の希望に沿うようにしています。お子さんがいる人は学校の行事があったり、家族の介護をしている方は通院の用事があったり。そういったプライベートを尊重できるよう、勤務スケジュールの調整に努めています。
どうしたいかを言えず、ストレスがたまってしまうのが一番よくありませんからね。そういった職場にしないために、こまめなコミュニケーションを取るよう気をつけています。上下関係なく気軽に話せる雰囲気づくりをしていて、その甲斐あってか、スタッフ同士がプライベートな相談をしあうこともよくあります。現場だけで完結せず、経営側もスタッフの意見を汲みとってくれるボトムアップの体制も強みのひとつです。

 

最後に

LGBT活躍や多様性を推進する取り組みに対して足踏みをしている企業は、どのように考えれば一歩踏み出すことができるでしょうか?

なんだってそうですが、行動に移せない理由は「考えすぎ」だと思うんです。余計なことをあれこれ考えると、本来問題にならないことが大きな壁に見えたりします。なので、おすすめするのはまず行動を起こすこと。些細なことからで良いんです。一歩踏みだせばガラッと景色が変わって、「壁に見えていたものが実はそうじゃなかった」って気づけると思います。
スミカでは、スタッフだけでなく入居者の方々もマイノリティのスタッフへ対応を変えたりせず、温かく接してくださっていますし、実際関わってみれば困ることはありませんよ。

 

多様性推進の取り組みを通して、今後どのような会社にしていきたいですか?

スタッフは「この会社に来てよかった」と思えて、会社は「この人に来てもらえてよかった」思える関係を築いていきたいです。誰にとっても心地よい居場所を目指し、スミカと出会った人みんなに「前よりちょっと楽しくなった」と思ってもらえたらいいなと考えています。
そして、社内の多様性推進の向こう側に見据えているのは、誰も取り残されない社会です。スミカと関わった誰かが「世のなかにはいろいろな人がいるんだな」と立ち止まって考えて、新たな視点をみつけてくれたら、理想の社会へ一歩前進なんじゃないかと思います。

 

「些細なことでもいい。口に出そう。行動を起こそう」
あらゆる人のはじめの一歩を後押ししてくれる力強いメッセージを聞かせていただきました。
考えすぎず、まずは一歩。実は身近にいる誰かのために、これから仲間になる誰かのために。「受け入れる気持ち」を形にする取り組みを始めてみませんか?

 

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